申立
労働者と使用者の間で、個別の労働関係に関する紛争が発生した場合には、管轄のある地方裁判所に対して、労働審判の申立書を提出することで、労働審判手続を利用することが出来ます。
費用 従業員の申立て費用は比較的低額です。
費用は、請求金額に応じて定められていますので、どのような金額を請求するかによって異なります。
例えば、解雇無効を争う場合には6500円の手続費用(印紙代)と、郵便切手代金がかかります。
呼出
申立があると、申立から原則40日以内に第1回目の労働審判期日が定められます。
申立人、相手方の会社等の事件の関係人が呼びだしを受けます。
なお、相手方が出頭しない場合であっても労働審判手続は進行し、申立人の主張立証で審判がなされる場合があります。
相手方・会社の反論期限
会社は、第1回の期日までに、申立書に対して、答弁書という反論の書面や証拠を提出しなければなりません。
審判期日
労働審判は第3回までの期日(裁判所へ出頭する日)で終了します。
なお、労働審判手続は非公開ですので、一般の民事裁判のように傍聴は出来ません。
原則として、申立人、相手方、それぞれの代理人のみが出頭します。
例外として、会社の担当者等の利害関係人が出頭する場合があります。
第1回期日の重要性
労働審判は、第2回期日まで書面の提出や証拠の提出が可能です。
しかし、実際は、第1回の期日前に申立人、相手方の提出した書面と証拠によって審判の方向性が決定されいます。
そのため、労働審判を申し立てる場合には、原則として出せる証拠はすべて提出した方が良いと考えられています。
なお、第3回目までの和解がまとまらないと、審判が下されることになりますが、審判内容に不服があれば、異議を申し立てることで、民事訴訟手続に移行します。
そのため、労働審判で早期に決着を着けたいのであれば、時間切れを予防するために、第1回までに出せる証拠はすべて出すことをお勧めします。
調停の成立
労働審判の手続期日調書に調停内容(和解内容)を記載して終了します。
審判の言渡し
2週間以内に異議が無ければ審判の内容が確定して「裁判上の和解」と同一の効力を持ちます。
※参考文献『労働審判制度その仕組みと活用の実際』(日本法令)
調停内容の例
- 申立人と相手方は、相手方が申立人に対する令和●年●月●日付け解雇の意思表示を撤回し、同日、申立人が相手方を相手方都合により円満に退社したことを相互に確認する。
- 相手方は、申立人に、本件解決金として金●円の支払い義務があることを認める。
- 相手方は、申立人に対し、前項の金員を令和●年●月●日限り、申立人の指定する、●●名義の普通預金口座(口座番号●●●●●●)に振り込む方法により支払う
- 申立人と相手方は、今後、本件紛争の存在及び本調停の内容を、みだりに第三者に公開しないものとする。
- 申立人は、本件申立てに係るその余の請求を放棄する。
- 申立人と相手方は、申立人と相手方との間に、本調停条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。